2008年の第1回大会から4度目の開催となった「アジアパシフィックオープンゴルフチャンピオンシップ パナソニックオープン」。例年アジアンツアー、そして未来のプロを目指すトップアマチュアや往年のベテラン選手が数多く参加し、国際色、そして年齢層も豊かなエントリーリストとなる同大会。今年は戦いの舞台を滋賀県の名門・琵琶湖カントリー倶楽部に移してティオフの時を待った。
狭く絞られたフェアウェイの両サイドは、打ち込んだ途端にピンチを招く深いラフが待ち受ける。また、トーナメント仕様のグリーンは強い傾斜の影響を、普段よりも格段に色濃いものにした。難セッティングで最後まで息を抜けないスリリングな勝負を余儀なくされる各国のトップ選手たち。そしてまた、パナソニック所属のホストプロ、石川遼が20歳になって初めてのトーナメントを迎えることもあり、注目度は開幕前から日増しに高まっていた。
ジェイブ・クルーガー選手が首位スタート
そして迎えた初日。日本列島を縦断した台風15号の影響で午前中はあいにくの雨。いきなり飛び出したのは日本ツアー初出場のジェイブ・クルーガー(南アフリカ)だった。母国の英雄ゲーリー・プレーヤーに憧れる25歳は、168センチと小柄だが300ヤード近い平均飛距離が武器。水分を含んだグリーンにボールを止め、「64」の7アンダー。2位タイ発進の丸山大輔、久保谷健一、韓国の裵相文(ベ・サンムン、KOR)、S.K.ホ(KOR)に3打差をつけるロケットスタートを見せた。
S.K.ホ選手が連日の好スコアでトップに
しかし、晴天となった2日目。祝日ということもあって1万496人の大ギャラリーが詰めかける中、独走態勢を築くかに思われたクルーガーはイーブンパーと沈黙した。「深いラフからでは、チャンスにつけられない」。雨が上がり、強い風が上空を吹き抜けた。前日に比べグリーンに徐々にスピードが出始めたことで、次第にコースが本来の姿を現し始めた。そしてそのクルーガーを抜いて単独首位に浮上したのが、日本ツアー3年ぶりの勝利を狙うS.K.ホ。初日「67」、そして2日目「66」と連日の好スコアをマーク。通算9アンダーと絶好の位置で決勝ラウンドに進出し、クルーガーは2打差の2位に。そしてさらに1打差の3位には裵相文(ベ・サンムン)と、海外勢の活躍が目立った予選ラウンドとなった。
一昨年優勝の丸山大輔選手が単独首位に躍り出る
ムービングデーの3日目。大観衆の注目はまず、トップから8ストローク差からのスタートとなった石川遼、池田勇太、そして2009年大会でローアマチュアを獲得した藤本佳則(東北福祉大4年)の組だった。しかし3選手ともに伸び悩み、上位を脅かす爆発的なチャージは見られない。そんな中、5アンダーの4位タイからスタートした丸山大輔が必死に耐え、持ち味である我慢のゴルフを見せた。難易度の高いパー3、パー4でパーを拾いながら、距離の短い3つのパー5すべてで確実に2オンに成功し、2パットバーディを稼いだ。一昨年は優勝、そして昨年は3位タイと、毎年コースが変わる中、同大会と抜群の相性をもつ40歳がお手本のような攻守の切り替えで通算8アンダー、単独首位に立ち通算3勝目に王手をかけた。
平塚哲二選手が首位と4打差の6位タイから逆転優勝
その丸山から4打差以内に10人がひしめく混戦状態で迎えた最終日。上位陣の誰もが逆転優勝を信じて、スタートしたのは言うまでもない。そしてこの激しい争いから抜け出したのは、どの選手よりも琵琶湖カントリー倶楽部を知る男だった。お隣の京都府出身で滋賀県在住。平塚哲二は、このコースを中学1年生の時からラウンド、今でも年に10回ラウンドしている経験があった。4打差を追い、4アンダー6位タイから出ると、1番でいきなり3パットボギーを叩きながらもイーブンで折り返す。上位陣も伸び悩む状況を知ると闘志は再点火した。11番パー4。フェアウェイバンカーから8番アイアンで放った第2打は直接カップインする起死回生のイーグル。さらにその後の13、16番のバーディで最終ラウンドにして初めて単独トップに躍り出た。2組後の最終組で必死に追いすがったS.K.ホは、17、18番で連続ボギーを叩いて2位タイに。日本、アジア、欧州ツアーを渡り歩くツアーきっての“鉄人”が鮮やかに通算6勝目、そしてアジア太平洋地域No.1プレーヤーの称号を手にした。
表彰式には優勝した平塚哲二選手、2年ぶり2回目のローアマチュアを獲得した藤本佳則選手、大会初日にベストスコア「64」を叩きだしたジェイブ・クルーガー選手が、ギャラリーから万雷の拍手を受けて登場。平塚選手が優勝スピーチで「地元で勝てて最高です!ギャラリーのみなさん、応援ありがとうございました!」と話し、優勝トロフィーを高々と掲げると地元の熱心なファンから大喝さいを浴びていた。
来年の第5回大会は、兵庫県の名門「東広野ゴルフ倶楽部」で開催される。来年も難度の高いセッティングに仕上げられたコースを舞台に、アジア太平洋地域から集結したトッププレーヤーによる白熱の展開が繰り広げられる。
1日目 日本ツアー初出場のジェイブ・クルーガー選手が首位スタート
2日目 S.K.ホ選手が連日の好スコアでトップに
3日目 一昨年優勝の丸山大輔選手が単独首位に躍り出る
4日目 平塚哲二選手が首位と4打差の6位タイから逆転優勝
表彰式 (左)大坪文雄大会会長(右)平塚哲二選手


























